免疫力とは?
免疫力=体を守る力
免疫力が高ければ、体も心もいつも元気
免疫力とは、ウイルスや細菌などの感染から体を守ってくれる力です。
また、免疫力は体の外から入ってくるものだけでなく、健康を害する体内にある敵も見張り、対処してくれます。体内で発生する代表的な敵が「がん細胞」です。人間の体は約37兆個(約60兆という説もあります)もの細胞からできていますが、がん細胞は正常な細胞の遺伝子が傷つくことで発生します。
しかし体が持っている免疫力が高ければ、発生したがん細胞をやっつけたり、その増殖を抑えたりしてくれるので、がんという病気は発症しません。
免疫の主役は白血球です。しかし唾液には免疫にかかわる物質が含まれていますし、腸管には免疫細胞の60〜70%が存在しています。また免疫力は不規則な生活やストレスに弱いという特徴もあります。
私たちの体を守ってくれる免疫力は、残念ながら加齢によって少しずつ下がっていきます。そこで大事なのは、今の状態よりも免疫力を下げないような生活をすること。そして免疫力が下がったときに、免疫バランスを健康な状態に調整する力を備えておくことです。
免疫力をアップするキーワード
・白血球
「自然免疫」と「獲得免疫」の2つがあります
・唾液
免疫を増強する物質や細菌作用のある酵素が含まれている
・腸内環境
免疫細胞の60〜70%が腸管に存在している
・自律神経
自律神経が乱れると、免疫のバランスが崩れる
・体温(基礎代謝)
NK(ナチュラルキラー)細胞は体内温度36.5度以上だと活性化する
・栄養バランスのとれた食事
きちんと食べることが、免疫力アップの基本
・規則正しい生活
「若いころと同じような不規則な生活」では病気になる
・ストレス
悲しいと免疫力ダウン、楽しいと免疫力アップ
・薬を飲みすぎない
抗生物質が腸内の善玉菌を殺すことも
・コレステロールは気にしない
コレステロールが低すぎて、免疫力が下がることも
免疫力が下がったり、免疫力のバランスが乱れたりするとこんな病気になります
【風邪やインフルエンザ】
風邪やインフルエンザなどの感染症。原因となるウイルスや細菌が体内に侵入しても、免疫力が高ければ発症しないこともあります。
【ノロウイルスやO-157】
原因となるウイルスや細菌をできるだけ早い段階で、やっつけることが大事。マクロファージやNK細胞などの自然免疫が活発に働けば、感染しても症状を抑えることができます。
【肺炎】
細菌やウイルスなどの病原体が肺内で増殖する病気ですが、免疫力が高ければ予防できるし、発症しても軽くすませることができます。
【がん】
人間の体内では、毎日約5000個ものがん細胞が作られていますが、これを除去したり増殖を防いだりするのがNK細胞です。
【生活習慣病】
免疫細胞にはコレステロールのバランスを整える、糖尿病を悪化させる物質の生成を抑えるなどの働きがあります。
【慢性疲労症候群】
疲労感、微熱、頭痛、筋肉痛、不眠・仮眠、気分の落ち込みなどが主な症状。原因は明らかになっていませんが、ストレスなどをきっかけに免疫のバランスが崩れてさまざまな症状が現れると考えられています。
【胃潰瘍】
胃潰瘍の多くはピロリ菌の感染が原因。免疫細胞はピロリ菌を撃退したり、胃壁の炎症物質を取り込んだりする作用があります。
【花粉症やアトピー性皮膚炎】
免疫細胞のバランスが崩れ、増えすぎた免疫細胞が過剰に反応して起こる病気。免疫細胞のバランスの乱れを正すことができれば、症状は軽減できます。
【アルツハイマー病】
免疫細胞のマクロファージには、アルツハイマー病の原因で脳にたまるアミロイドβを処理する働きがあります。
参考文献
奥村康 『大丈夫! 何とかなります 免疫力は上げられる』