ニキビについて
今回は臨床上よくみかけるスキントラブルの「ニキビ」についてお話していきます。
ニキビ
美容鍼灸の臨床上よく見るスキントラブルで、しわ、たるみに次いで多いのがニキビです。男女問わず、思春期以降、40歳になってもできることがあり、成人痤瘡と呼ばれています。
俗称で大人ニキビと呼ばれています。
ニキビができるメカニズム
1.男性ホルモンの刺激で、皮脂腺が活性化されると皮脂分が多くなる。
2.なんらかの原因で角質が厚くなり、毛孔を狭くし、毛穴がふさがり、皮脂が皮膚表面に流れなくなってできる。
思春期のニキビは男性ホルモンが多くなることにより起きます。ある程度の年齢になってからのニキビは、ストレスや食事、機械的刺激(頬杖などの手指による刺激、前髪による刺激)、生理不順、胃腸障害など内的、外的諸因子ががあり、皮脂の分泌が多くなり、毛穴が詰まることで起きます。
角質が硬くなり毛穴が詰まっても、皮脂は産出され続けます。すると内圧が上がり、隆起ができ、白ニキビ(閉鎖面皰)となります。さらに内圧が上がり、毛穴が開いていくと、溜まっていた皮脂は酸化し黒くなり、黒ニキビ(解放面皰)となります。皮脂は常在菌のアクネ菌にとって栄養分となり、アクネ菌が増殖します。この増殖により炎症反応が起きると面皰を中心に赤くなります。これがニキビ(痤瘡)です。白ニキビ、黒ニキビは、「面皰(コメド)」といわれます。
生理前や生理中にニキビができる人が多いですが、生理前の卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)比率でエストロゲンが減少し、男性ホルモンの作用が強くなることで起きます。
エストロゲンは脳下垂体に作用して、性腺刺激ホルモンや副腎皮質刺激ホルモンなどの分泌に抑制的に働き、間接的に副腎皮質や甲状腺由来の男性ホルモンを抑制します。月経前になると、プロゲステロンが増加し、エストロゲンが減少します。これにより男性ホルモンの分泌が亢進され、その作用によりニキビができます。
プロゲステロン分泌の多い生理前はエストロゲン、プロゲステロンの比率により男性ホルモンの作用が強くなってニキビがひどくなり、逆に生理の後は肌の状態がよくなります。
スキンケア
ニキビは、皮脂の分泌亢進、毛穴のつまり、アクネ菌の増殖によりなります。このためスキンケアは、余分な皮脂分泌を除去し、毛穴のつまりを予防する、アクネ菌の増殖を抑制することが重要です。
洗顔は余分な水分を落とし、表在するアクネ菌を除去します。ピーリングなどいろいろな成分が入っていますが脂性肌用であればいいです。洗顔回数は1日2回行います。化粧を落とす時のクレンジングオイルやメイク落としは十分な水ですすぐことにより汚れと共に油分も落ちるため、クレンジングオイルにより悪化することはありません。UVケアの際には、クリームタイプではなく油分の少ないローションタイプを使い、ファンデーションもパウダータイプ(粉が浮いてしまう場合は保湿成分入りのものを選ぶ)など油分を控えます。
ニキビが起きる要因に角質のバリア機能の低下があり、その修復機転で角化が亢進しているという考えがあります。紫外線による免疫力低下、汗のアルカリ化による肌の殺菌作用低下などが助長するため、UVケア、汗を拭き取るようにするなどの日常生活に気をつけます。また睡眠不足は肌の免疫力を下げるので睡眠を心がけます。
また脂質、糖質の多い食事、間食などは、できたニキビが悪化する要因となります。手入れ中は気をつけましょう。
ニキビをひっかく、触るのも悪化させる要因で、触れているとその周囲に新しくニキビができたり、炎症が強くなることがあるので、清潔を保つようにします。
ストレスも影響するため、気分転換などを心がけましょう。特に極度な食事制限はかえってストレスになるので、過敏にならず量を控えるなど1週間の間でバランスを取るように心がけましょう。
ニキビができたら
鍼で改善効果はありますが、大きくて赤いニキビがある場合などは皮膚科での治療をすすめます。小さいニキビの場合は鍼治療とともに上述のスキンケアなど生活改善の指導をしていきます。